乗用車の整備士からスキルアップを狙って転職。
前職では、2年ほど乗用車ディーラーの整備士として働いていました。そこでは点検作業が中心で、それなりのやりがいを感じていましたが、一通りの業務をマスターしてからは、整備士としてもっとスキルアップするために、重整備を経験したいと考えるようになりました。そんな思いからトラックやバスなどの整備工場で働きたいと思うようになり、いくつかの会社を見る中で、給与などの待遇が最もよかったこと、さらに自分の地元の横浜で働けることが決め手となって神奈川三菱ふそうに入社しました。
入社1年目は本社工場に配属となり、先輩がほぼ付きっ切りで指導してくださいました。2年目からは、そこで培った知識や技術を生かして、本牧工場で働いています。トラックなどの整備は未経験でしたが、基本的な構造は乗用車と変わらず応用できる知識や技術は少なくありません。しかし、ガソリン車とディーゼル車では異なる点もありますし、乗用車に比べて部品が大きく体力を要するなどの違いがあります。さらにトラックは長距離移動が多いため、必然的に故障や不具合の確率は高まります。そのため、スキルアップに向けて、一つひとつ丁寧に勉強し直すつもりで取り組んできました。
長距離走行するトラックの安全をプロの技術で守る。
本牧工場は、当社の中では比較的小規模な施設で、8人の整備士が勤務しています。港湾に近いため、コンテナが搭載されたシャシーを運ぶトラクタヘッドという車両が多いのが特徴の1つです。コンテナを積んで長距離を走行するため、ブレーキ・ライニングをはじめとした消耗品の状態などを注意深くチェックしています。
基本的には日常的に取引のある企業の車両を整備しますが、場所柄、1日2、3台、近くを走行中のトラックが飛び込みで入ってきて、「ウォーニングランプが点灯したので、原因を調べて」といった点検や修理の依頼を受けることもあります。先日は、定期点検を受けておらずクラッチがすり減ってギヤが入らなくなったトラックが慌てて飛び込んできました。こうしたケースにもできる限り対応しており、目的地まで走れるように応急処置をしたり、故障の程度が大きい場合は、お預かりして修理して、後日引き取りに来てもらったりします。
乗用車整備の経験が強みとして生きていることに気づいた。
この仕事の喜びは、お客様に納車して「ありがとう。おかげで直ったよ」などと喜ばれることに尽きますが、時には失敗から学ぶこともあります。ある時、お客様から依頼された故障を修理して納車しましたが、別の箇所の不具合を見逃しており、お客様から指摘されるという手痛いミスをしたことがありました。その時まで、「お客様から言われた箇所を直せばいい」と思い込んで仕事をしていた自分に気づき、以後、より広い視野を持って確認するようになりました。
さらに最近、前職のディーラーで乗用車の整備を経験した自分の強みに気づきました。ディーラーではお客様が入庫されたクルマをピカピカの状態で返却するのですが、通常、トラックではあまり汚れを気にしません。それでも、私は、きれいな状態で返したいという思いが強く、お客様からも「きれいになっていて驚いた。ありがとう」などと褒めていただくこともあります。
ただ、まだまだ力不足と感じる点も多くあります。車両の下回りなどを整備していると、作業着に油汚れなどが付着することがあります。シートにカバーを敷くとはいえ、そうした作業着でお客様のトラックを試運転すると、車内を汚してしまう原因にもなってしまいます。ところが、先輩のベテラン整備士の作業着はいつも驚くほど汚れていません。無駄な動きが増えると汚れやすくなりますから、技術の高さの証として、自分も作業着は常にきれいな状態を保てるように心がけています。
会社の環境や待遇が良く、安心して長く働くイメージを持てる。
仕事の経験を積むうちに、プライベートでも他車の状態が気になるようになったのは一種の職業病かもしれません。「あのトラックはキュルキュルと異音がするからベルトを変えたほうがいいな」などと、いつも気になってしまいます(笑)。先日はショッピングモールの駐車場で、バッテリーが上がって困っている様子の人がいたので、サッと処置をすると、とても感謝してもらえました。そんな形で自分の技術が人の役に立つのも嬉しいものです。
転職して良かったと心から思えるのは、スキルアップできたことに加え、安心して長く働くイメージを持てることも大きいです。給与や手当、ボーナスなどは業界平均に比べて高水準だと思いますし、残業が少なく休みもしっかりと取れるため、幼い子どものいる自分にはありがたい限りです。
今後の目標は、整備士として分からないことをゼロにして、なおかつ誰にでも分かりやすく説明できるようになることです。「齋藤に任せれば安心だ」と、同僚やお客様から言われる存在になりたいですね。この先も一生現場で工具を握り続けて、整備士として生きていけたら幸せです。